研究概要
1. 研究課題名
近視学童における0.01%アトロピン点眼剤の近視進行抑制効果に関する研究
2. 目的
研究は,軽度または中等度近視と診断された学童を対象として,0.01%アトロピン点眼剤の近視進行抑制効果および安全性について検証することを目的とする。
3. 主要評価項目
ベースライン観察時から24ヶ月間投薬終了観察時までにおける他覚的等価球面度数の変化量
4. 副次評価項目
- ベースライン観察時から24ヶ月間投薬終了観察時までにおける眼軸長の変化量
- 試験開始時(登録時)から24ヶ月間投薬終了観察時までにおける他覚的等価球面度数および眼軸長の変化量
- ベースライン観察時から試験終了観察時(試験を中止した場合は試験中止時)までの各観察時点における他覚的等価球面度数および眼軸長の変化量の推移
- 試験開始時(登録時)から試験終了観察時(試験を中止した場合は試験中止時)までの各観察時点における他覚的等価球面度数および眼軸長の変化量の推移
- 試験開始時(登録時)から試験終了観察時(試験を中止した場合は試験中止時)までにおける眼球および外眼部,調節機能,眼圧,眼底および瞳孔径への影響の有無
- 試験開始時(登録時)から試験終了観察時(試験を中止した場合は試験中止時)までにおける有害事象および副作用の発現率
5. 探索的評価項目
年齢,性別,人種,家族歴,裸眼視力,他覚的等価球面度数,眼軸長,瞳孔径によるサブグループ解析
6. 試験薬
0.01%アトロピン点眼剤およびプラセボ製剤
7. 目標症例数
180名(0.01%アトロピン点眼剤投薬群90名,プラセボ点眼剤投薬群90名)
8. 症例登録期間
2014年12月~2016年9月(1年10ヶ月間)
9. 研究実施予定期間
2014年12月~2019年1月(4年2ヶ月間)
10. 対象
軽度または中等度近視(他覚的等価球面度数:-1.00D~-6.00D)と診断された学童
【選択基準】- 同意取得時年齢が6~12歳(小学校1年生~6年生)の男女学
- 過去1年間の学校健診における視力判定で視力低下が認められる学童
- 調節麻痺下*)における両眼の他覚的等価球面度数が,各々-1.00D~-6.00Dの学童
- 不同視が1.50D以内の学童
- 乱視度数が±1.50以内の学童
- 1.0以上の矯正視力が得られる学童
- 眼圧に異常のない学童
- 調節麻痺の施行が可能な学童
- 本実施計画書に則った来院診察を受けることができる学童
- 本研究の参加に対して本人および親権者から書面による同意が得られた学童
- 両眼視機能が異常である学童
- 弱視または顕性斜視である学童
- 調節麻痺下および非調節麻痺下における両眼各々の他覚的等価球面度数の差が,1.00D以上の学童
- 近視以外の眼関連疾患を有する学童
- 視力または屈折度数に影響を与える可能性のある眼関連または全身性疾患を有する学童
- これまでにアトロピン治療を含むコンタクトレンズ,二焦点メガネ,累進多焦点レンズなどの近視治療を受けたことのある学童(ただし,トロピカミド点眼剤0.4%治療の中止後3ヶ月以上経過している学童はこの限りではない)
- 循環器系疾患または呼吸器系疾患の病歴のある学童
- 最近1年間に喘息に対する薬剤治療を受けたことのある学童
- アトロピン,シクロペントラートまたはベンザルコニウムに対するアレルギーの既往がある学童
- 薬剤の点眼ができない学童
- 臨床研究期間中にコンタクトレンズ,二焦点メガネまたは累進多焦点レンズの着用が必要となる可能性のある学童
- その他,研究責任(分担)医師が本研究の対象として不適当と判断した学童
11. 試験の流れ
個々の被験者の試験期間は,登録~試験終了観察時(試験を中止した場合は試験中止時)までとする。投薬期間は,投薬開始2週後にベースライイ観察を行い,更にベースライン観察時を起点として24ヶ月間とする。この間,ベースライン観察後投薬の6ヶ月後(投薬6ヶ月観察),12ヶ月後(投薬12ヶ月観察),18ヶ月後(投薬18ヶ月観察)および24ヶ月後(投薬終了観察)に観察,検査を行う。また,投薬終了後,1ヶ月の休薬期間を設定し,休薬期間終了時に試験終了観察を行い,試験を終了する。
投薬期間中は,試験治療(0.01%アトロピン点眼剤投薬またはプラセボ点眼剤投薬)を実施し,ベースライン(投薬開始2週後)観察時以降の観察時においては,必要に応じて眼鏡を処方する。本研究は,二重盲検下のプラセボ投与で行うことから,研究責任(分担)医師および被験者ともにどちらの点眼剤を投薬しているか知れないよう実施する。
試験デザイン

12. 実施体制
実施形態
医師主導臨床研究

13. 代表研究者
木下 茂
京都府立医科大学特任講座 感覚器未来医療学 教授